ビジュー・サトウ 佐藤善久による「スマホ時代のジュエリーリフォーム」その3「デジタルの積極活用で拓くジュエラーの未来予想図」
2019.02.19
「スマホ時代のジュエリーリフォーム」とは?<第3回>
デジタルの積極活用で拓くジュエラーの未来予想図
株式会社ビジュー・サトウ 代表取締役/ジュエリービジネスプロデューサー 佐藤善久
こんにちは。ジュエリービジネスプロデューサー 佐藤善久です。今回がラストの3回目になります。過去2回でデジタルジュエリー®の活用法の一部をご紹介させていただきました。今回はデジタルジュエリー®が拓くジュエラーの未来予想図を描いてみました。
世の中の流れがデジタルにシフトするときあなたの選択は!?
WINDOWS 95が発売されてインターネットが一般に登場してから早24年、さらに販売台数の半数以上がスマホになったのが2015年。そして今はA I(人工知能)やらVR(バーチャルリアリティ)、AR(拡張現実)などの文字が踊ります。
そしてスポーツ用品メーカーの「アディダス」は一昨年4月に3DプリントスニーカーFuturecraft 4Dを発表。ソール部分を3Dプリンターで製作しています。3Dプリント採用のシューズは2018年に生産数を10万足以上まで拡大するという計画を発表しています。
インターネット、スマホ、3Dプリンターでカスタマイズした商品を手間なくオーダーできる時代が到来しています。このことを前提としてお話ししていきます。
ジュエリービジネスも今までの延長線上では残れないと皆さまは感じていらっしゃるのではないでしょうか? これからは下記の方法が考えられます。
1・商品をそろえ「多店舗展開」を狙う
2・ブライダル専門店などの「専門性の高い販売店」になる
3・リフォームのメインとした「オーダー・リフォーム専門店」になる
この中で1と2は商品が中心なので資本がモノをいい(もちろん専門性も必要ですが)、ジュエリー事業者以外でも資本の力で参入も可能です。
3は空枠を沢山用意し催事で集客する方法や、空枠カタログを提示し接客する方法でなく、より専門性の高いジュエラーとしてのリフォーム店をさします。
その中には手描きデザイン、手作りリフォームも考えられますし、デジタルジュエリー®によるリフォームもあります。
皆さんが腕利きの職人だったら手作りを売りにしたジュエリーリフォームはすばらしい武器になると思います。しかし外注のみだったらこの時代、継続性に疑問符がつきます。(御徒町の職人さんたちも高齢の方が多く年々廃業されています。)
私自身、クラフトの勉強を一切していなかった営業マンでしたが、デジタルジュエリー®で自由自在に3D-CADを操り、スマホやWEBを介してお客さまとやり取りしているデジタルジュエリー®リフォームを行なっています。
2014年に「3Dプリンターでここまで作れる!驚きの活用事例 20選 後編」という特集のWEBサイトで、弊社が運営する「make.digitaljewelry」が紹介されました。
「3Dプリンターでここまで作れる!驚きの活用事例 20選 後編」にて紹介された内容
3D-CADと3Dプリンターを利用するので、それこそジュエリー事業者でなくても参入できるイメージが付きますが、実はそうでもありません。必要なのは3D-CADと3Dプリンターではなく、3D-CADと3Dプリンターを使って顧客価値(顧客感動)を生み出すこと。これによって、より生産性の高いジュエラーとして生き残ることなのです。
その証拠に先のサイトでの紹介文には「3Dプリントを代行するサービスと異なり、ジュエリーに要求される宝石の石留めや、内側の文字彫りなどのノウハウを強みとしている」となっています。
左は3Dプリント/右はWAX切断
リーマンショック後の2009年のIJTに「デジタルジュエリー®協会」で出展していた時、名古屋の異業種の方が沢山ブースにいらっしゃいました。話を聞くと自動車関連の仕事を3D-CADでしていたけれど、仕事が減ったので3D-CADのスキルを活かしてジュエリービジネスに参入したいという方々でした。でもその方々も今ほとんど残っていません。やはり3D-CADを利用してモノは作れてもジュエリービジネスにはなかなかならないということなのです。
ジュエラーとしてデジタルを積極活用する時代の到来!
前回のこのコラムでご紹介した高松市「ジュエルエファーナ」大山社長が受講し、その後活躍されているのが「デジタルジュエリー®プロ講座」です。
この講座はただの3D-CAD講座ではなく、ジュエリー事業者がデジタルを使いオーダー・リフォームを取るジュエラーとして一人立ちするための講座です。
3D-CADや3Dプリントを外注に頼っていては手作りを売りにしているのにそこは外注のお店となんらかわらないので継続性に疑問が残ります。先の繰り返しになりますが、3D-CADの専門家が今からジュエラーを目指すのとジュエラーが3D-CADでジュエリーデザインを覚えるのはどちらが大変かといえば前者の方が大変です。ここにジュエラーの残る道があります。
高松ジュエルエファーナの店頭にある3Dプリンター
デジタルジュエリー®プロ講座とは?
「デジタルジュエリー®プロ講座」は、216,000円の3D-CADソフトJCAD3 GLBが付属して1,296,000円(税込み)という価格です(地方の場合、交通費・宿泊代は実費別途)。
授業内容は3D-CADでのジュエリーデザインはもちろん、プレゼンテーションに必要なレンダリングや360度回してご覧いただけるバーチャルジュエリーの作成方法、さらに小型になり音も小さく、小売店の店頭にも置ける3Dプリンターを使いオーダー・リフォームを取る方法と、宝飾小売店が3Dデジタルで出来ることが網羅され、今後必要とされることが学べます。
<日程例>
★第1回 連続する3日間(ジュエリーCAD基礎)
★第2回 連続する3日間(石枠 レンダリング)
★第3回 連続する3日間(復習・応用)
(ここまでの過程を2か月の間で行うのが好ましい)
その後 様子を見ながら
★第4回 連続する3日間(3Dプリンター実践編)
★第5回 連続す3日間(3D-CAD 応用・実践)
★第6回 連続する2日間or3日間 東京にて3Dプリンターで作るジュエリーメイキングの現場視察
(ここまでの過程を2か月の間で行うのが好ましい)
★第7回 連続する3日間 実際に店頭にて2日間のデビューイベント開催 そのサポートを行います。
デジタルでも中途半端は生き残れない
3D-CADでのジュエリーデザインをマスターし店頭に3Dプリンターがあると、結婚指輪・婚約指輪のフルオーダーが劇的に優位になります。なにせ3Dプリンターでのレジンの指輪一個あたりの出力コストは100円しません。さらに出力時間も1時間程度です。その3Dプリンターも30万円台からあります。ただし自社でやった場合がコスト100円以下であり外注していたらそうにはなりません。
また世の中の製造業のほとんどが3D-CADでデザインしているので自分の結婚指輪は自分でデザインできる人も増えています。その受け皿として3Dデータ入稿でジュエリー製造を依頼できる「make.digitaljewelry」を運営しています。これはいわばネット入稿の印刷屋さん・写真屋さんのジュエリー版です。そして自分で結婚指輪を3Dでデザインする傾向は今後増えることはあっても減ることはないでしょう。デザインの制約はありますが3Dデータを入稿で金・プラチナ・シルバーでもオーダー可能なサイトが世界各国にすでにあります。
30万円台の3Dプリンターnobel10A
20年以上に渡り3D-CADと3Dプリンターでジュエリー製作を手掛け、大手ジュエリーメーカーから百貨店・小売店・消費者のあらゆる段階の仕事をしてきた経験上、デジタルジュエリー®を取り入れるのなら早いに越したことはないと確信をもってお伝えしています。
3Dデータ入稿で3Dプリント可能なサイト例
<日本>
<アメリカ>
PR現代が主宰するジュエリー小売事業を営む企業のマーケティング研究会「JMG(ジュエラーズ・マインドグループ)」では、「デジタルジュエリー®️による小売店の未来戦略づくり」をサポートしています。詳しくは弊社までお気軽にお問い合わせください。
著者/佐藤善久プロフィール
昭和39年7月28日生まれ。創業昭和46年の宝石卸業 の2代目。さまざまな宝石販売流通を経験した営業マン。
小売店からのオーダーを職人にいかにデザインイメージを伝えるか悩んでいた1995年に宝石向け3D-CAD「JCAD3」に出会い 不器用な営業マンが3D-CADをマスターすればデザインの意思疎通が取れることに感動し、のめり込む。3D-CADでデザインしたジュエリーで2度「JJAデザインアワード」に入選。さらに国立東京外国語大学公認「建学150周年記念」校章入りジュエリーのデザインや国立東京工業高等専門学校の特別客員教授を務めた経験もある。
現在は iPhoneを使ったバーチャル試着やLINEを使ったデザイン画の確認・3Dプリンターも駆使したオーダーリフォームや「デジタルジュエリー®スクール」で後進を指導している。
(株)ビジュー・サトウ
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