労働基準法の管理監督者とは? /社員が通勤途中でケガをした場合/社員ががんになったら
経営者のための雇用・労務 お役立ち情報/社会保険労務士:藤井真奈美
雇用・労務 2018.09.28労働基準法の管理監督者とは?
「管理職だから残業手当は必要ない」とよく言われることですが、会社内で管理職としての地位にある社員でも、労働基準法上の「管理監督者」にあてはまらないことがあります。権限も与えられず、相応の待遇もないまま肩書きだけを「課長」にしたからといって、残業手当を支払わないでよいことにはなりません。「管理監督者」は法律上の労働時間等の制限を受けませんが、管理監督者に当てはまるかどうかは役職名ではなく、その社員の職務内容、責任と権限、勤務態様、待遇を踏まえて実態により判断します。今回は「管理監督者」に当てはまる条件をご紹介します。
■ 経営者と一体的な立場で仕事をしている
経営者から管理監督、指揮命令にかかる一定の権限を委ねられている必要があります。「課長」「リーダー」といった肩書きであっても、自らの裁量で行使できる権限が少なく、多くの事案について上司に決済を仰ぐ必要があったり、上司の命令を部下に伝達するに過ぎないような場合は「管理監督者」には含まれません。
■出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない
時を選ばず経営上の判断や対応を求められることがあることから、管理監督者の出退勤時間は厳密に決めることはできません。遅刻や早退をしたら、給料や賞与が減らされるような場合は管理監督者とはいえません。
■その地位にふさわしい待遇がなされている
その職務の重要性から、地位、給料その他の待遇において一般社員と比較して相応の待遇がなされていることが必要です。
上記に当てはまらない人は、社内で管理職とされていても残業手当や休日出勤手当が必要です。社内の管理監督者について今一度確認してみましょう。
社員が通勤途中でケガをした場合
従業員が業務上や通勤途中で病気やけがをした場合は、労災保険から病院の診察代が支給される「療養(補償)給付」が受けられます。
診察を受ける医療機関が労災保険を取扱う場合は、その医療機関を経由して、労働基準監督署に所定の請求書を提出します。
また、労災保険の取扱いのない医療機関で診察を受けた場合は一旦治療費を全額負担した上で、その領収書と一緒に所定の請求書を直接労働基準監督署に提出します。それにより負担した治療費が後日戻ってきます。
社員ががんになったら
現在、2人に1人が一生のうちにがんと診断されると推計されており、現役世代にも多くのがん患者がいます。仕事をしながらどのように治療をすすめていくのかはがん患者のみならず、職場や家族にとっても大きな問題です。
東京都では、事業主・人事労務担当者の方々に必要とされている「必要な就業上の配慮」や「他社での取組事例」等、がん患者の就労に関する有益な情報を「東京都がんポータルサイト」で提供しています。
「がんに罹患した従業員の治療と仕事の両立ハンドブック」の内容も閲覧できます。また、企業向け映像教材として「がん治療と仕事の両立~もしも職場の誰かががんになったら」も掲載されており、ドラマ仕立ての教材ですので、患者である従業員の気持ちを理解するのに役立ちます。ぜひご利用ください。
【プロフィール】
藤井 真奈美
特定社会保険労務士
ファイナンシャルプランナー 社会保険労務士法人「国際労務パートナーズ」
社会保険労務士 ファイナンシャルプランナー
「大日本インキ化学工業株式会社」(現 DIC株式会社)の総務人事部門で17年半勤務 。 その後、夫の海外転勤に伴い退職してシンガポールに引越し、2年後に帰国。 約2年間の社会保険労務士事務所勤務を経て、2011年11月に藤井社会保険労務士 事務所を設立。2106年3月に事務所を法人化し、社会保険労務士法人 国際労務パートナーズを立ちあげる。
国際労務パートナーズ
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