夏季セミナーダイジェスト①問題提起「ネクストショップ」の顧客創造戦略とは?
2019.08.12
7月30日(火)に開催された PR現代・第54回「夏季セミナー」 当日は130名を超える多くのご参加をいただきました。
ウェブマガジン『ネクスト・ウェボリューション』ニュース&トピックスでは、3回にわたり、当日の様子をダイジェストでレポートします。今回は午前に行われた問題提起についてのレポートです。
【問題提起】本質を追求し時流に適応する「ネクストショップ」の顧客創造戦略とは?
PR現代 代表取締役社長 マーケティングディレクター 下島 仁
『ネクストショップ』とは?
既存の固定概念にとらわれず、次世代の顧客と経営をクリエイトする専門店。
これは今から5年前、ジュエリーやきもの関係の専門店の経営者、マーケッターの方々によって構成された「2025プロジェクト」によって定義したものです。専門店が「ネクストショップ」を目指すべき理由は何なのか? それは、現在の国内マーケットに起きている「3つのシフト」に起因します。
消費者の志向の変化=ザ・シフトの時代
平成30年間において、日本は社会全体が成長から成熟へと変化しました。今、日本では
●マインドシフト~生活者の価値観の変化~
●シニアシフト~少子高齢化・スマートシニアの台頭~
●ウェブシフト~ネット社会への急激な変化~
という大きな3つの要因が存在します。
この大きな変化に対応できなければ、きものやジュエリーなどの成熟市場の未来はないといってもよいでしょう。(3つのシフトにおける具体的な施策は『ネクストショップ』を参照)
「ネクストショップ」の肝、「ウェボリューション®︎」とは?
今後、消費者の購入選択は一層シビアになり、企業間格差がさらに広がっていくでしょう。専門店はブランド力を高め、選ばれる店になることが重要です。「会社が何を目指し」「どこに進んでいくのか」を社員と共有し、最高の顧客価値の提供を目指すことがこれからの専門店の課題です。
そこで注目していただきたいのが、先ほどお話しした3つのシフトの一つである「ウェブシフト」です。スマホ誕生から15年、すべての購買行動のプラットフォームであり、土台となる環境がウェブという時代がやってきました。つまり、「ネクストショップ」への基本戦術として、リアルとウェブの融合、つまり「ウェボリューション®︎」のマーケティング手法の展開が選ばれる専門店となるカギとなります。
「ウェボリューション®︎」は、
1:リアルとウェブの融合で
2:これまでにない感動を提供し
3:顧客との新たなつながりを生み出す
マーケティング革新(顧客創造の新たな仕組み)です。
リアルでの感動をウェブで発信することで、結果的に顧客との新たなつながりを生み出し、お客さまの潜在欲求を顕在化するアクションを生み出すことができるのです。
【トピックス1】ここまで来ている、 これは活かせる!拡張現実(AR)を用いた顧客創造の実際
低価格でアプリを作れる時代がきています。アプリには様ざまな機能を付加でき、お客さまとの双方向コミュニケーション手段として有効です。
主な機能としては
○プッシュ通知
○会員限定価格/ポイント価格
○パンフ・DMを3次元化
○口コミ拡散
○バーチャル試着
などがあります。
今回はAR機能つきのアプリで顧客づくりに成功した事例をご紹介します。
<事例1>「塗り絵アプリで世代を超えたファンづくりに成功~ヤナセ神戸~」(株)ウェズ 西山涼平氏
ベンツの販売ディーラーである「ヤナセ神戸」の事例を紹介していただきました。
アプリの仕組みは、
1.家族を展示会に招待し、子供に「くるまのぬりえ」台紙をプレゼント
2.塗り絵をした車にスマホをかざすと、塗り絵の車がスマホの画面上で動き出す。(事前にアプリのダウンロードが必要)
アプリを作ったときの最も高いハードルはダウンロード率を上げることですが、「ヤナセ神戸」の仕組みの優れているところは、
①子どもが喜ぶことで、アプリのダウンロード率があがる。
↓
②SNSでこどもの絵を家族・親戚に拡散する。
↓
③この結果、世代を超えたファンづくりができる。
というファンづくりのスキームができていることです。
アプリをダウン―ドしてもらえれば、今後はイベント情報や各種サービスの案内をアプリを通じて行うことができます。「ヤナセ神戸」の成功により、現在では全国の「ヤナセ」ディーラーでこのサービスを展開しています。
<事例2>「振袖のバーチャル試着アプリで新規客獲得」(有)ジーティープロジェクト 酒井尚志 氏
無地の着物に何パターンもの振袖を着せ替えることができるアプリを開発。今後、専門店は振袖名簿の獲得困難になりウェブでの新規獲得が大きな課題となります。「振袖のバーチャル試着」アプリはその課題を解決するひとつの方法となるでしょう。お客さまは振袖を着なくても、ARを使った「バーチャル試着アプリ」で何着も試着ができます。撮影した画像はSNSで拡散できますので、口コミ効果につながり、家族とのコミュニケーションのきっかけづくりにもなります。
在庫を抱えることなく、お客さまに満足いただけるサービスを提供することができるという点でも店舗側にとって大きなメリットとなるでしょう。
【トピックス2】これだけはおさえておきたい! SNSを有効活用するための、会社と社員のいい関係!
(株)ザ・サン・ストラテジックソリューションズ 代表取締役社長 藤浪慧
世代を問わずSNSを利用している時代。専門店がお店の情報を発信する手段としてSNSを活用することは必要不可欠となっています。その一方で「バイトテロ」と呼ばれる、意識の低い従業員によるSNSでの悪質な投稿への問題も起こっており、多くの企業がその対処に苦慮しています。
Twitter、LINE、インスタグラムなどSNSを単なる広報ツールとしてではなく、お客さまとの双方向のコミュケーションツールととして、積極的に活用していただくために注意すべき点、今後取り組んでいただきたい点は以下の通りです。
1.店舗内にSNS担当者を選定すること。
→ただし、投稿するコンテンツの質や、コミュニティの質が落ちないように(荒れないように)マネジメントが必要。
2.ソーシャルメディアのガイドラインを作成すること。
→雇用契約書のなかにSNSメディアのガイドラインの記載は必要。記載があることで従業員の意識が変わります。
※ガイドラインの策定については当社にご相談ください。
【トピックス3】専門店における真珠販売。これからの可能性は?
<事例1>『真珠絵本』を活用して、年間200本の真珠セットを販売するきもの専門店がある!
○真珠を着ける意味、価値、贈る喜びを啓蒙する
○来店客にくまなく配布し続ける
○クーポンや優待券で買いやすさを訴求
○ホームページで自社の信頼性をPR
<事例2>品質訴求だけでなく、スタイリング提案ができる真珠なら購買チャンスはもっと広がる!
○冠婚葬祭だけでなくファッションアイコンとして!
○女子会、同窓会、披露宴、旅行先
○お手持ちの真珠もリフォームOK
提供(株)レアール「TSUNAGI」(特許、商標登録)
【トピックス4】日本の美を世界へ!
永坂景子 螺鈿・蒔絵ジュエリーの世界をその代表例に紹介しました。
【トピックス5】これまでの既成概念を越えよう!ジェンダーレスジュエリー!
ジュエリーもきものも男性向けの需要開発が市場創造の突破口のひとつであるとし、具体例をあげて紹介されました。
○メンズ、レディースの枠を超えたジェンダーレス。展示会でも好評 。性差を超えたジュエリー!
○グレた感じがなく、オヤジ臭くない 品があってカッコいいメンズジュエリー!
○「Attivo」(アッティーボ)
【トピックス6】キャッシュレス&インバウンドへの対応を!
10月1日からの増税に伴うキャッシュレス化推進への対応を急ごうとし、日本タブレットの事例の紹介がありました。
1:キャッシュレス・ポイント還元の加盟店登録は大丈夫?
2:インバウンドへの対応はお済みですか?
2025年、自社アプリを導入したタブレットが販売員一人ひとりに支給され、接客サービス・顧客のリピーターフォロー・営業活性化が促進され、社員の定着率や生産性を上げる時代が必ず来ます。
キャッシュレス化への対応お店に便利なサービス~日本タブレット~
○無償で決タブレットを提供
○銀行カー直結「ぷりん」なら手数料は0.95%
○訪日外国人向け決済「We Chat Pay」「Alipay」「amazon pay」に対応。
【トピックス7】買取りへの対応強化へ!
お客さまのお持ちの商品に寄り添う時代。販売だけの展示会より併設の方が売れたきもの専門店の事例をもとに、買い取りによる需要開発の必要性が紹介されました。
○購買意欲を喚起
○休眠客を活性化
○買い替え需要を促進!
○(株)Kubedの協力により各専門店で好条件での開催が可能に!
ネクストショップへの近道「7つのアクション+1」
最後に『ザ・ネクストショップ』に紹介されている、ネクストショップ 7つのアクションが紹介された。セミナーではこの7つにもうひとつ加えられ、7つのアクション+1(プラスワン)として、紹介されました。
その7つのアクション+1は次の通り。
1.店の主体性-コーポレートスローガンをつくる
2.魅力ある商品、看板サービスをはっきりさせる
3.プロフェッショナルを育成する
4.名物催事をつくる、バージョンアップする
5.地元貢献、産地貢献を強化する
6.ウェブからの来店購入を高める
7.ウェブとリアルを融合した店のイメージアップ
+1. 企業の社会的責任を果たす、そのための法務管理をしっかりする
ネクストショップへ挑戦することの大切さをトピックスを交えながら紹介された午前の部。会場と一体となったセッションのような雰囲気に会場は包まれました。最後に記念写真を撮影し、午前の部は終了しました。※次回は、分科会1(主にきもの)を紹介します。
(文・加藤早苗)
PR現代のホームページにて夏季セミナー当日のフォトライブラリーを公開中