ものすごく美味しいのに……。
2019.07.11こんにちは。PR現代の神山です。
ジメジメとした日が続き、暑かったり、ときどき寒かったりで、なんとなく体調が芳しくない今日この頃です。
7月30日(火)の夏季セミナーに向けての準備を進めつつ、お店に伺って会議や打ち合わせをさせていただく日々です。それにしても、やっぱりお店で聞くお話ほど学びが多いものはありません。真剣に課題に向き合っている方は、問題意識の高さから気づきも多いのだろうと思います。
おしゃれでキレイなお店発見
とあるお店の月度会議に向かう途中、お昼をどこで食べようかと同行のスタッフと一緒に少しお店のまわりをふらふらと歩いていました。
すると、商店街の中にひときわおしゃれで真新しいお店があることにスタッフが気づきました。まわりの風景とは異なる、都会的なセンスと雰囲気に惹かれ、ここで食べることにしました。このお店はトンカツ屋さんなのですが、外観から「決して安くはないな」というオーラが放たれていて、若干心配ではありましたが、そのお店に入ることに。
「いらっしゃいませ!」
入った瞬間、まだ仕事に慣れていないだろう若いスタッフは5〜6名、私たちに向かってそういいました。
その瞬間、「あれ? なにか変だ」とちょっとした違和感を感じました。
中に入ると木の香りがするカウンターに、数名の先客がおり、このお店のマスターと思しきコックスタイルの方に食べ方を指示されていました。
私たちは、店内に充満するなんともいえない緊張感に包まれながら、
「何にする?」(ヒソヒソ声)
「この一番下のランチでいいね」(ヒソヒソ声)
とそっとやりとりし、オーダーを取りに来た女性スタッフに伝えました。
メニューが出てくる間も、できるだけ音を立てずに、そしてなるべく会話をせずに待っていました。
しばらくして、私たちの前に美味しい香り漂うトンカツ・ランチが運ばれてきました。
「いただきます」(ちいさめに)
食べ始めようとした矢先、いつのまにか私たちの前に来ていたマスターが、
「最初のひときれは、ソースや塩をつけずに、そのまま食べてください」
と言いました。
「あ、はい」(焦り気味に)
言われたとおり私たちは、何もつけずに食べました。
確かに、美味しい! 肉の旨味というか香りというか、普段食べている油感の多いカツとは全く別物です。なるほどさすがに美味しいとふたきれめを食べようとすると、
「こちらの塩とソースの両方で食べてください」
とマスター。
「あ、はい」(汗)
その後は指示されることもなかったので食べることに集中しようとしたのですが、どうにも落ち着かないのです。
はっと前をみると、カウンターに向かって5〜6名のスタッフが横一列に並び、じっと我々を見つめているのです。
「うっ」
と確実に引きつった表情を返してしまったと思います。すると、マスターがそのうちの一人の方の名前を呼び、なにやら怒っています。
キャベツのお代わりなどに気を配れということのようです。
これをきっかけに、さらに店内の緊張感は高まり少ない髪の毛の先がチリチリとするほどでした。
私たちは、ほぼ会話をせずに食べることに集中し、そそくさと店を後にしました。
「とっても美味しかったけど、味を思い出せない」
「そうですね、緊張しました」
お店を出てすぐ、止めていた息をいっきに吐き出しました。
東京銀座に本店がある?ミシュラン掲載店のお店だった
聞けば、このマスターさんはとても有名な方だそうで、銀座では行列ができるトンカツ店なのだそうです。どうりで美味しいわけです。
ものすごく美味しかったのですが、
「今度は違うお店にしよう」
というのが私たちの共通の感想でした。
とてつもなく美味しかったのに、二度は行かないと思ったのは、値段が高かったからではありません。
庶民感覚の私たちには、とても居心地の悪い空間だったからです。慣れないスタッフを叱ることも大切ですよね。お客様に目をくばり、サービスをすることも重要です。でも、じっと見つめられてたら、美味しく食べられるものも食べられないというものです。
ピリピリとした雰囲気の中では、きっと美味しさも減退してしまったのではないでしょうか。
ここはレストランなので、もっとも大事なのは味だと思います。お客様は食事をしにきているわけですから。
しかし、マスターさんやスタッフさんたちが醸し出す緊張感は、私たちを萎縮させました。
どんなに良い商品やサービスがあっても、
「働く人たちから発するオーラや態度しだいで、商品やサービスの魅力が伝わらないかもしれない」
この美味しいトンカツ屋さんの出来事で、そんなふうに思いました。
このお店に限らず、お客様がいる仕事をしている人たちに共通して起こり得ることだなと。
もちろん、このカツ屋さんのファンの方もいらっしゃるだろうし、この味に惚れた!という人もいらっしゃると思います。
でも、私たちのようにビビりなお客様もかなりいると思うのです。
とってももったいない。
先日日経ビジネスにも出ていましたが、今の人は、モノからコト、そしてトキに対して価値を見出すのだそうです。思い出や二度とない体験、大切な人と過ごす時間など、、、。
トキに価値を見出すということは、サービスを提供する側も、お客様と一緒にその価値を共有しなければなりません。
商品価値やサービスだけではお客様に満足や感動を提供することはできないのだということです。私自身身もとてもみつまされる出来事でした。
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7月30日(火)第54回PR現代「夏季セミナー」
テーマ「ザ・ネクストショップ」
新たな時代を力強く生きるために、『ザ・ネクストショップ』書籍の発刊決定を記念して、きもの、宝飾専門店の顧客創造戦略を全公開!
○7月30日(火)10:30ー19:00、会場「アキバプラザ」
○定員:120名(先着順)
○プログラム・参加料のご案内ページはこちら
https://pr-g.jp/2019/05/15/summer-seminar-2019/
○参加者には7月発売の新刊『ザ・ネクストショップ』を進呈!
○お申し込みはこちらから https://pr-g.jp/apply/
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