「最新ウェブトレンド」 おさえておきたい4つのポイント
ウェブマーケティングウェボリューション 2018.09.03(株)PR現代 取締役 神山有史
Apple「Home Pod」、 Google「Home Max」、 Facebook「Aloha」 など、スマートスピーカー(AIスピーカー)が家庭に浸透し始めている。
ネットショッピングや家電の操作等、スマートフォンパネルを指でタッチして行っていたことが、「ミネラルウォーターを注文して」など、「音声」のみで可能になる。
家庭の日常会話をスピーカーが収集し、人工知能(AI)が精度を上げることで、指示しなくてもスピーカーから「トイレットペーパーの補充は大丈夫ですか?」、「週末の天気は○○です」と情報提供してくるようになることも考えられる。
人工知能が人々の生活にじわじわと浸透し、消費行動が大きく変化してきている。このことが小売店にとって何を意味しているのか考える必要がある。
例えば、
○「店頭での会話」=オフライン、○「店のウェブサイトのアクセス状況データ」=オンライン。催事売上が厳しくなってきたからこそ、この両者の情報を合わせ、フル活用することがこれからの客づくりに欠かせない。店頭でのお客さまとの会話も、担当スタッフ個人レベルでの把握でなく、ワードやエクセルにキーワードだけでも入力しておくべきであり、その積み重ねがこれから貴重な資産になることは間違いない。
顧客リストを宛名ラベル作成のためだけに使ってはいないだろうか? 戦略的に活用する仕組み作りが急務である。
今までアタックできなかった層に対して、どのように最適な情報発信をしていくかの対応が求められている。
「PR現代」は「ウェボリューション®」として、ウェブ(IT)を駆使した経営革新を提唱していく。
これまで、DMのようにまとまったターゲットに対して一つの情報を一斉に発信していた。しかしこれからは、各個人へ最適な情報を届ける方式が主流になっていく。
例えば、「1か月前に来店があり、振袖の適齢期のお嬢さんがいるA さんに対しての情報」をAさんにダイレクトに届けること。
消費者はマスの情報よりもSNS(Instagram <インスタグラム>、LINE <ライン>、Twitter <ツイッター>、YouTube <ユーチューブ> 等)の情報を信頼して行動する時代であり、よりターゲットを明確にした情報発信が必要である。
世界的に動画コンテンツは確実に増加しており、その数と視聴するユーザーは今後さらに増える見込みである。
例えば「料理の手順」では、テキストと写真の解説よりも動画で見たほうが短時間で明解であり、実際に作ろうという意欲が出てくる体験をしたことはないだろうか。
日本における「動画広告市場」は前年度比163%増の1,374億円。
「スマートフォン動画広告需要」は190%成長。さらに、2019年に2,000億円、2022年に3,000億円になる予測。
すでに自店で活用している場合も、まだ着手していない場合も、今後動画活用の適切な手立てを考えることを無視できない流れといえる。
「成功事例紹介」
実践した店だけが到達する世界「ブルースカイ」を目指す方法
事例1 呉服A社
充実した特典とコンテンツで来店予約が昨対177%アップ
「こんなにいい特典があるなら、ウェブから予約しておいたほうが断然お得」、「友人を多く紹介すればするほどお得」。ウェブ来店予約からの成約特典は2,000円相当の電子マネー(7種から選択可)またはクオカード。紹介特典は5,000円分の自社お買い物券または2,000円分のクオカード(いずれも条件あり)と、本当にもらってうれしい特典になっている。
また、グーグルのページインデックス数が現在3,000弱と、呉服業界では圧倒的なコンテンツ量であり、検索優位性や信頼に結びついている。
以上によって同社では昨対比率177%のウェブ来店予約を獲得している。
ポイント
○ユーザー側のメリットが明確なウェブ予約特典/紹介特典
○圧倒的なコンテンツ量
事例2 呉服B社
更新×広告×最適化で予約数が倍増
B社では16店舗がそれぞれ毎日ブログを更新。つまり、1日に16記事がアップされる。他店舗展開している同社の強みをうまく発揮し、スタッフの協力を得ることに成功している。
ウェブ広告にもさまざまな種類があるが、複数を特徴によって使い分け実施。サイトの1か月のユーザー数は2万、ページビュー数は10万。この数が結果的に予約数の倍増を支えている。
そして、基盤となるウェブサイトの最適化を常時欠かさない。日々変化するグーグルアルゴリズムの条件を満たす実践の積み重ねが、結果的にユーザーにとって見やすく、行動を起こしやすいサイトに仕上がっている。
ポイント
○社内のブログ更新体制確立
○適切なウェブ広告の実施
○徹底したウェブサイト最適化
事例3 呉服C店
ユーザー数5,000をクリア 予約数・リアル来店数アップ
同店では昨年約2,000だったユーザー数が今年5,000を突破。百貨店や問屋がひしめく呉服激戦区で検索順位1位の実績があり、諦めずにサイトのブログ更新を行ってきた結果である。
その更新内容は、毎月のアクセス解析による現状の把握と、検索キーワードにあらわれるユーザーの欲求に耳を傾ける姿勢によって作り上げられている。店の一方的な「売りの情報」ではない内容での更新。それは、地域の感度の高い最新情報と、専門家にしか書けないオリジナル情報であり、それによってユーザーとの間に信頼が築かれる。
書く文章には自然に人柄があらわれるもの。「この店に行ってみよう」と“行動に移す”後押しに影響を与えていることも大きいと考えられる。
ポイント
○地道な更新でユーザー数アップ=努力の継続
○お役立ちの地元情報発信
○人柄が伝わる文章&専門情報→信頼感が来店動機を後押し
事例4 呉服D店
着付け教室サイトを徹底更新。3か月弱で生徒獲得
同店では振袖特化の公式サイトと、着付け教室サイトを併用。着付け教室サイトでは2,000文字以上のブログ記事更新によって、公開から3か月弱で教室へ予約が入った。
担当するのはウェブの専任スタッフではなく、店舗の他の業務も行う女性スタッフ。業務の合間をぬって、ユーザー視点のお役立ち情報の記事を継続して書いている。
季節感を出しながら、地域のお出かけスポット、着付け教室のお客さまの声などをテーマに、読んだ後に清々しい穏やかな気持ちになるような文面でつづられている。
2,000文字以上というとハードルが高く感じられるが、長文だからこそ中身の濃い情報が提供できる良さがあり、何と言ってもグーグルアルゴリズム(※)に合致し検索優位である。
「着付け教室でお稽古を始めてみようかな」、「この店なら安心して予約できる」とユーザーの心に響いている。
ポイント
○売りの情報ではない、お役立ち情報の発信
○文章と写真から伝わる親しみやすさと安心感
○2,000文字以上の記事更新
事例5 呉服E店
ウェブサイトをリニューアル!その直後に来店予約獲得
スマートフォンに最適化するとはどういうことか?
同店の旧サイトはスマホで見たとき、パソコンで表示される画面がそのまま縮小されて表示され、文字や画像が小さく、スクロールして移動・拡大しないと閲覧できないものだった。
リニューアルによってスマホでも見やすいだけでなく、その画面から電話がかけられ、来店予約の入力もしやすいサイトに生まれ変わった。
リニューアル直後に来店予約が入ったことはうれしい想定外。今後はウェブ予約のお客さまを歓迎する体制を整え、スタッフ間で密な情報共有をすることがさらなる成功のカギといえる。
ポイント
○「電話しやすい・予約入力しやすい」ユーザー視点のスマホ最適化
○ウェブ予約→リアル店舗での対応の整備