同一労働同一賃金とは?/従業員が私傷病により長期で休む時は/従業員が通勤途上でケガをした場合
経営者のための雇用・労務 お役立ち情報/社会保険労務士:藤井真奈美
雇用・労務 2020.01.01同一労働同一賃金とは?
正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)との不合理な待遇差の見直しとして2020 年4 月(中小企業は2021 年4 月)より「同一労働同一賃金」の制度が導入されます。
労働者のおよそ4 割が非正規雇用労働者であると言われておりますので、各企業にとっては影響の大きな制度改正といえます。この働き方改革の一環としての制度改正に向けて、どのような準備が必要なのかポイントをご紹介します。
■ 注意すべき項目
1)賃金の決定基準・ルール
①基本給
能力又は経験に応じて支払うもの、業績又は成果に応じて支払うもの、勤続年数に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実を認めたうえで、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければなりません。
②賞与
会社の業績などへの貢献に応じて支給するものについては、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければなりません。
③各種手当
職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な事態に照らして、不合理なものであってはならないとされています。
2)福利厚生・教育訓練
不合理な待遇の差を設けてはいけません。
【詳しい内容はこちらをクリック】
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000470304.pdf
【企業向けの解説動画はこちらをクリック】
https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/reform/
従業員が私傷病により長期で休む時は
病気やケガの療養のために会社を休まなければならず、給与が受けられないときは生活を保障するために健康保険から傷病手当金が支給されます。
民間の所得補償保険のような保険だけでなく、公的な健康保険にもこのような生活保障のための給付がありますので、利用してみてはいかがでしょうか。(国民健康保険では傷病手当金の制度はありません)
連続する3 日間を含み4 日以上仕事に就けない場合に給付の対象となり、その4 日目から通算で最長1 年6 か月の期間支給を受けることができます。(支給される傷病手当金の1 日分の額)
●支給開始日以前の継続した12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3
原則として、休んでいる期間に給与支払いがないことが条件です。
【詳しい内容はこちらをクリック】
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139
従業員が通勤途上でケガをした場合
従業員が業務上や通勤途中で病気やけがをした場合は、労災保険から病院の診察代が支給される「療養(補償)給付」が受けられます。
診察を受ける医療機関が労災保険を取扱う場合は、その医療機関を経由して、労働基準監督署に所定の請求書を提出します。
また、労災保険の取扱いのない医療機関で診察を受けた場合は一旦治療費を全額負担した上で、その領収書と一緒に所定の請求書を直接労働基準監督署に提出します。それにより負担した治療費が後日戻ってきます。